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バランスとタイミングを逃さず京都から三共精機ブランド発信
好きな歴史上の人物を教えてください
諸葛孔明

(中国後漢末期に劉備玄徳に三顧の礼を持って迎えられ、軍師として蜀建国を助けて三国時代へ導く。宰相、軍略家として活躍した)

恐らく孔明はそれほど野心のない人だったんじゃないかな。劉備や曹操の上に立つことなど考えず、あくまでも幹部社員として役目を果たしましたよね。劉備を倒して自分が王になろうなんて、全く思わなかった。それでいて説得力、仕掛け、策略……幹部社員としては最高ですよ。我々経営者としては、こういう社員が欲しい。劉備も自分にないものを持っているからこそ三顧の礼で迎えたわけで、経営者も孔明みたいな番頭さんがいてくれたら本当に助かります。自然を利用したり、相手の力を利用したり、バラエティに富んだ考え方の出来る人ですよ。彼こそバランスが取れ、タイミングを逃さなかった人ではなかったかと思います。
私自身も自分はトップの器ではなく二番手の器だと思っていた時期がありますが、孔明の様な幹部社員であれば、どんな日々を送っていたかと想像してしまいます。
座右の書・感銘を受けた本を教えてください
石門心学

石田梅岩 著

石田梅岩というのは京都・亀岡の出身で、江戸時代中期に活躍した経済学者です。そして侍の息子ではなく庶民に、そろばんや経済学の心得を無料で教えた人なんですね。彼に感銘を受けたのは、「商」が一番下の身分だった士農工商の時代にあって、「商」の有用性を理論立てて正当化したことです。何も卑下することはないと。これによって私は、「商売」が立派な職業であることを確信したんです。
またCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の考え方を、日本で最初に発信したのも彼だと思います。江戸時代に既に分かっていたというのは凄い。この書は何かの時に改めて読むのではなく、今では私の考え方の基本になっているほど繰り返し、繰り返し目を通している書です。
習慣としていることを教えてください
毎朝のストレッチと1時間のウォーキング+素振り
経営者は体が資本。毎朝6時には起きてストレッチとウォーキングを続けています。もともとスキーをやっていまして、スキーは足腰を鍛えていないと怪我しますから走ってたんですけどね。今は膝に負担を掛けない様に、もっぱらウォーキングです。お陰であまり病気をしないばかりか、ゴルフの飛距離は同年齢の方には負けない自信があります。
もう一つ心掛けているのが「爽やかでいる」こと。そのためには食事と睡眠がポイント。食事は一日三度、きっちり摂りますし、睡眠不足は思考力が衰えますから、夜遅くまで飲み過ぎることのないようにしています。さらに意識しているのは「余裕」。余裕がなくなると慌てる、慌てるとろくなことはありません。スケジュールには余裕を持たせることも大事ですね。
生き方・考え方に影響を与えていると思う出会い、言葉を教えてください
「真理の探求」、「純金ははげない」

同志社中学〜高校の先生の言葉

つまり本物になりなさいということ。正しいこと、本当のことを追求しなさいと同志社中学や高校の先生に教わったことが今でも頭に残っています。理系だからかもしれませんが、とことん追求したくなるんですよ。風潮だからとか、人がこう言ってるからではなく、自分で確認したいわけです。ですからUFOや幽霊みたいに、自分で見たことがないものは信じられないですね。
真理を探求しようと思えば、多面的なモノの見方が求められます。「こう言われたから、こうです」と簡単に決め付けてしまう社員には、「もうちょっと何人かに聞いてみたら」とアドバイスしています。多面的に捉え、原因を聞いた上で判断しなければいけないからです。
最後に京都という地で事業を展開してよかったこと、大変だったことを教えてください
京都の企業は東京に本社を置かない
関西以外の土地で「京都から参りました」と言えば、必ず「京都ですか」と好意的に受け取ってくださいます。京都には本物があることを、多くの方がご存知だからではないでしょうか。お料理一つとっても素材や味はもちろん、器や盛り付け、“もてなし”、お庭の状態まで全てが揃ってこそ京料理と呼ばれます。こういった伝統文化には技術があります。数え切れない程たくさんの技術が京都にあり、そこから世界的な京都ブランドが生まれているではありませんか。
しかも京都の企業は東京に本社を置かない。日本ではなく、世界を相手にビジネスをする。そこが素晴らしいですよね。こういった経営哲学も、京都では古くから確立されていたと聞いたことがあります。私たちも京都本社の企業として「三共精機ブランド」を発信するべく、現在取り組みを進めているところです。大企業とは一味違う、オンリーワン企業を目指しています。
    
(記載内容は2008年3月時点における情報です)